理事長挨拶

國分 茂博 (新百合ヶ丘総合病院肝疾患低侵襲治療センター/内視鏡センター)

 この度 (2018年9月開催第25回日本門脈圧亢進症学会総会 (大阪) 理事会にて)、第6代日本門脈圧亢進症学会理事長に就任致しました。

 ここに理事長としての最初のご挨拶を申し上げます。

 本学会は、昭和43年井口潔先生が立ち上げられた門脈外科研究会に端を発し、昭和53年に改名された門脈圧亢進症研究会と、昭和61年発足の食道静脈瘤硬化療法研究会とが合同し、両研究会の代表世話人を務められていた出月康夫先生を初代理事長として平成6年に日本門脈圧亢進症食道静脈瘤学会が誕生しました。

 そして二代目二川俊二理事長3年目の平成11年に現在の門脈圧亢進症学会という名称になりました。奇しくもその年の第6回当番会長が後の第三代理事長沖田極先生であり、在任中は学会運営の基盤安定化に大変な時間と労力を注がれました。そして第4代田尻孝理事長は学会の枢軸となる技術認定制度(手術・内視鏡・IVR)を発足され、地区代表世話人による各地区の研究会も開始されました。地固め療法・CA-EISで内視鏡治療を確立された第5代小原勝敏理事長は時代のニーズを汲み取る医療安全委員会、データベース委員会を設置されました。

 

 私はこの間、硬化療法研究会・門脈圧亢進症研究会の時代から本領域研究の魅力に憑りつかれ、学会となってからも肝臓外科・内科、消化器外科・内科(内視鏡)、放射線科(IVR)、病理学と夫々出身母体が異なるにも拘わらず、学会場では熱く討論し合うためか、会場を一歩出ればより懇親の場で親しく接し合える、という他学会ではあまり見られない光景(状況)に引き込まれ育てられて来ました。今でも門脈亢進症における“分水嶺”はどこか? 腸肝循環との関わりは?と考えております。

 この魅力的な研究分野である門脈研究-門脈学(第24回國土典宏会長講演タイトル)は、C型肝炎ウイルスが制御可能 (C-SVR) となったこの時代、肝臓の課題も肝硬変に移り、そのPoint of No Returnはどこか? (門亢症の出現?) の見極めが、より着目されつつ有ります。また門亢症治療の趨勢も主力であった内視鏡治療から薬物治療 (V2-antagonist,TPO,RFX,門脈血栓溶解,門脈圧降下薬他) 併用やIVRに移りつつ有ります。但しその基盤である門脈血行動態の理解をなくして立ち向かうことは不可能です。

 微力ながら、本年4月の診療報酬改訂にて、16年越しで「胃静脈瘤に対するBRTO」が本学会保険委員会の努力により保険収載され、今後は異所性静脈瘤や肝性脳症治療への発展に期待されて居ります。次はTIPSに向けて力を注ぐべき時が参りました。

 このような背景のもと、今後の本学会の新たな発展のために、前理事長 (Immediate Past President) の改革を引き継ぎこれからの2年で、行うべき課題が多数あります。
その一端を以下に示します。

1) 国際交流委員会の新設―①中国側の提案もある日中定期交流カンファレンスの検討、②2019JSH-International Liver Conference (Liver Cirrhosis /Portal Hypertension) への協力、③BAVENO (伊) VII (Faculty of Japan) への参画
2) 副理事長3人体制とし、各種委員会の統合・改訂による役員人事縮小合理化。
3) 技術認定受験者と若手会員入会者数増加推進のための方策
4) 門脈圧亢進症取扱い規約 (2013年) の更新 (第4版:2020に向けて)
5) 保険適応の推進;TIPS、DOAC, Terlipressin. (薬事承認済Histoacry)
6) 第一線の臨床医にとって混乱が生じないように、本学会の門脈圧亢進症治療マニュアルと、肝臓学会と協議中の門亢ガイド(仮)及び肝硬変診療ガイドライン (消化器病学会・肝臓学会) の門亢関連内容について整合性を図る。

 

 本学会は、多くの海外の先生からのご指摘があるように、恐らく世界に一つしかない
「門脈圧亢進症」に特化した学会のようです。このSpecificityに恥じない、Intensiveで独創的な診断・治療法への斬新な研究が本学会から輩出されることを期待しております!。そのためには理事、評議員に止まらず、全会員の力を相互に繋ぎあい、これを活性化させる関連事業を巻き込み共に最終的に本邦の医療全体に貢献していくことが当方の役割と存じます。皆様のこれまで以上のご協力と暖かいご支援を賜れば幸いに存じます。